円明院の石仏(1)(練馬区錦)
円明院(えんみょういん)は慧日山円明院西光寺が正式名で奈良の長谷寺を本山とする真言宗の寺院。創建は不詳だが、西暦1500年頃にはあったようである。田柄川が曲流し南に流れるところで、右岸に金乗院、左岸に円明院がある。
門前には沢山の石仏が並んでいる。まずは山門に向かって右側の石仏から。霊場碑や寺名碑の脇にあるのが大型の駒型庚申塔。ただしこの庚申塔は近年氷川台2丁目7の今神橋際にあったが、平成元年(1989)3月にここに移されたもの。
庚申塔は、日月、青面金剛像、邪鬼、二鶏、三猿が描かれており、造立年は享保7年(1722)8月と刻まれている。右側には「奉造立青面金剛尊像所願成就所」とある。下部には武刕豊嶋郡下練馬内講中12人とあるが、グレーのペンキで落書きされた跡が残っている。罰当たりの愚鈍者がいるものだ。両側面にはそれぞれ、「右 ふじミち」「ひだりハたかたみち」とあり道標を兼ねている。
庚申塔の左には6基の石仏が並ぶ。一番右は角柱型の馬頭観音だが、小さい。右端と見える大きな馬頭観音座像が目立つが、その右下にある小さな角柱も馬頭観音である。上部の「馬…」のみが読めるが、その他は摩滅していて分からない。
背の高い頭光のついた馬頭観音座像は反対に極めてしっかりした像形が維持されており迫力がある。これは寛政6年(1794)9月に造立されたもので、中折れしているが見事なもの。基壇には年紀と「武刕豊嶋郡下練馬村 26人」とある。この馬頭観音座像は、富士街道と戸田橋に向かう道の三角点(錦1-31)にあって道標になっていたという。基壇の左右には、「北とだわたし道」「西ふじみち」とある。その左の地蔵菩薩立像っぽいのは実は阿弥陀如来像。裾脇に延宝7年(1679)5月の年紀と、元禄12年(1699)7月の年紀がある。その隣の極めて背の高いのは天明5年(1785)2月造立の延命地蔵(一つ上の写真の左端)。
背高の地蔵の脇には燈籠と馬頭観音がある。手前の笠付燈籠は中段の火袋が無くなっていて燈籠には見えない。造立年は元文2年(1737)9月で「武刕豊嶋郡下練馬村」の銘と「奉納石燈籠 寒念仏講中」とある。後ろの馬頭観音は角柱型の文字塔で、これは大正2年(1913)と比較的新しい。施主島野市之亟と書かれている。
場所 練馬区錦1丁目19-25
| 固定リンク
コメント