東京ガス裏の石仏(荒川区南千住)
南千住の東の端、隅田川寄りに広大な東京ガスの工場群がある。戦前は千住瓦斯製造所と言われていた。北にある広い貨物駅「隅田川駅」は隅田川を利用した鉄道と水運の連絡地であった。しかし都内でもあまり知られていない貨物駅として健在で、物流の拠点となっている。そんな隅田川駅と山谷地区の間に東京ガスの工場敷地があり、その裏手にブロックとトタンで簡易的に造られた堂宇がある。
10基ほどの石塔石仏が雑然と並べられているが、赤い地蔵さんの前掛けをしてある石仏も多く、誰かが世話をしていることがわかる。どれもほとんど摩滅あるいは欠損損壊状態でまともに形を留めているのは中央の大きな庚申塔だけである。
山状角柱型の庚申塔は元禄4年(1691)の造立で、日月、「奉造立庚申供養▢」と刻まれた下に三猿が陽刻されている。左面には「是より…」とあり右面には「是より東 すみだ川渡道」とある。左面は下半分が読めない。その左にある角柱型の道標も右、左とあるがその後の文字が分からない。かろうじて左の下は「江(戸)」と読めそうだが。右側にあるもので上半分が折れて無くなった石柱は、延宝8年(1680)の年紀と仲春(2月)という文字が読めた。よくぞこの状態で維持されていると感心すると同時に、この場所を石仏の為にとどめてほしいと願う。
場所 荒川区南千住3丁目19-1
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