民家脇の庚申塔(練馬区田柄)
この庚申塔は存在を知らなければ発見できないような場所にある。光が丘美術館前の通りをそのまま進むと道筋が消え、その先には近年つくられた光が丘東大通りに無理やり出るような道の造りになっている。大通りの北側には広々とした小学校と中学校があるが、この辺りはその昔、上田柄の集落の一部で変則の五差路になっていた辻である。しかし今は大通り主体で街づくりが進み、路地裏のそのまた裏になっている。
白く塗られたブロック塀に囲まれた中に駒型の庚申塔が祀られている。高さは120㎝程。日月、青面金剛像、邪鬼、三猿が陽刻され。上部には「奉造立庚申」とある。右横には「像諸願成就所 鳥海源太良」とあるがこの時代の「良」は「郎」の意であることが多い。造立年は元禄11年(1698)11月。願主名は他にも五十嵐山三良、▢木右エ門という文字が見られる。
こういう路傍の庚申塔は極めて貴重である。この場所から北東へ消えてしまった古道を辿ると、現在の豊島園通り(旧田柄西道)になる。そのまま田柄川の左岸を下って川越街道に至る幹線の村道であった。大きな通りが開通するとこういう古い道筋が分からなくなる。しかしその痕跡はいろいろなところに点々と残り、それを見つけるのもまた面白いものである。
場所 練馬区田柄5丁目23-11
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