照善寺の石仏(大田区田園調布)
田園調布は大田区、しかし西に少し歩くとすぐに世田谷区になる。多摩川はかつてはひどい暴れ川で河岸段丘は田園調布に多くの急坂を強いている。その段丘の縁にあるのが照善寺。山門下には丸子川が流れているが、この流れは昔の川岸で、かつ次太夫堀として開鑿されたものでもある。丸子川を挟んだ向かいには民家の塀にも庚申塔がある。
丸子川の橋を渡って石段を上ると照善寺の山門。田園調布には多くの谷戸があるが、八幡神社の西の谷戸と穴八幡下の谷戸の間の台地の縁を上っていく。境内に入るとそこからは平坦になっている。
境内の左右に古い石燈籠が立っている。離れているので対という感じはしないのだが、この二つの燈籠は同じ時に造立されたもので、対の石燈籠。造立年は文政3年(1820)霜月(11月)で竿部にはどちらも観世音菩薩當村と書かれている。
本堂脇の墓所入口に石仏が多数集められており、その中の一基が馬頭観音。舟型に三面六臂の馬頭観世音菩薩を陽刻、頭上に馬頭を持つので馬頭観音ということがわかる。施主名落合次郎兵衛とのみあり、年紀は不明だが明治ではなく江戸時代のものかと思われる。
石仏群の左端のひときわ大きな2基の石仏はどちらも庚申講中によるものである。右の石仏の尊像は阿弥陀如来像。造立年は寛文12年(1672)12月で、尊像脇には「石佛造立旨趣者」「為庚申供養成就」そして講衆十人とある。左の石仏は地蔵菩薩立像で、こちらの造立年は寛文5年(1665)7月。尊像脇には「於當寺地蔵建立趣者」「為庚申講供養成就也」とある。下部には落合氏、長氏の願主名が残っている。
場所 大田区田園調布5丁目30-7
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