原稲荷の庚申塔(荒川区町屋)
地下鉄千代田線町屋駅のすぐ北の路地奥にある原稲荷神社は創建年は不詳ながら、天正18年(1590)徳川家康の江戸入府に伴って三河国の百姓が町屋に移ってきた時に創建されたという言い伝えがある。通称は町屋稲荷とも呼ばれる。東京都神社名鑑による原稲荷神社の由緒には正保4年(1647)の庚申塔および明暦3年(1657)の庚申塔があると書かれているらしいが、後者はない。
社殿の右側を奥に進むと板碑型の庚申塔が立っている。これが正保4年(1647)2月造立の庚申塔である。中央には「奉造立庚申」とあり、その下には線刻で阿弥陀三尊像が描かれている。
阿弥陀像左側には「待供養為現當安楽也」と刻まれている。また下部には同じく線刻で二猿が描かれており、お互い向き合っている。写真を拡大してみて頂ければと思う。
この庚申塔は町屋村4組8名の夫婦によって建立されたもので、中世に多く作られた板碑の形式をとりながら江戸時代の庚申塔への移行の途中段階にあるものとして極めて珍しい。説明柱によると「阿弥陀三尊来迎図像庚申塔」という名前で文化財登録されているようだ。ちなみに原稲荷の原というのはこの辺りの江戸時代の地名である。500mほど西の慈眼寺周辺には江戸時代から多くの民家があったが、現在の町屋駅の北西側は田畑の広がる原であったからだろうか。
場所 荒川区町屋2丁目8-7
| 固定リンク | 0
コメント