加賀町会会館石仏群(足立区加賀)
加賀は足立区の西の端にある地域で鹿浜とともに埼玉県川口市に接している。加賀町会会館は五色桜通りと東京女子医大通りの交差点近くにあるが、路地のさらに奥にあるためなかなか見つけにくい。しかし加賀町会会館の看板が出ているのでそれを探せば大丈夫である。
看板に従って路地状地を入っていくと昭和の建物という雰囲気の木造の建物があり、訪問時は中から地区の人々の話す声が聞こえてきた。石仏を見ている間にも出入りがあり、地域活動が活発な印象である。会館手前の左に堂宇がありいくつもの石仏が祀られていた。
いかにも古そうな石仏がこれだけまとまっているとちょっとわくわくする。後部左の大きな板碑型の石仏は庚申塔。造立年は万治元年(1658)霜月(11月)とある。とても珍しいのは板碑型青面中上部に三猿が陰刻されている点である。その下には「奉造立庚申供養之石塔為二世安樂也」と刻まれている。脇には願主8人銘、台石には蓮の華葉が描かれており初期の庚申塔である。
後中央の石仏は丸彫の地蔵菩薩像だが、これは寛文4年(1664)9月に造立された地蔵・庚申講中による庚申地蔵。前裾に文字が刻まれており、願主名は8名ほどある。その右にある笠付角柱型の石塔は前面の文字がかなり激しく削られており造立年は読み取れないが11月という文字は確認できた。どうも供養塔のようだが墓石かもしれない。
前面の3基は左端が舟型の聖観音菩薩像で造立は安永3年(1774)2月。像の右脇に「寒念仏供養」と書かれている。中央の駒型の庚申塔は残念ながら上部が欠損している。欠けた部分から日月があったと推定でき、その下には青面金剛像、邪鬼、三猿が陽刻されている。造立年は明和8年(1771)12月。脇に刻まれた文字は「加賀村」「講中 六右衛門 伝衛門 外十四名」。右の角柱型は上部に地蔵座像と思われる尊像が描かれ、六十六部供養塔とある。造立は宝暦4年(1754)3月。「奉納大乗妙典六十六部廻国供養」「武刕下足立郡渕江領加賀村」の銘がある。
場所 足立区加賀2丁目6-6
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