珠明院の石仏(足立区小台)
足立区小台にある寺院は珠明院のみ、隣接する宮城にあった地蔵院も廃寺になったのか本堂は解体され更地になり墓所が残るだけなので、この荒川と隅田川の間の島にはこの一寺のみということになる。珠明院は1500年代前半の創建の曹洞宗寺院で、豊嶋郡赤塚村松月院の末寺だったといい、ずいぶん遠い末寺だと言える。
山門は手前が駐車場入口で奥の山門がおそらくは本当の山門。広々としていて気持ちのいい寺院である。奥の本堂前の山門をくぐると右手に堂宇があり、地蔵菩薩と庚申塔が祀られている。
左の丸彫地蔵菩薩立像は宝永8年(1711)の造立で、宝永8年は4月に正徳に年号が変わっているので春先の建立だろう。台石には神田周辺の願主名がならんでいる。右の板碑型の庚申塔は正徳2年(1712)2月の造立。板碑型ながら日月、青面金剛像、邪鬼、二鶏、三猿が描かれている。
本堂前を左にいくと墓所でその入口近くにある2基の地蔵菩薩のうち右側が庚申地蔵。舟型地蔵菩薩の下部には三猿が陽刻されている。造立年は寛文12年(1672)9月と古いものである。尊像右に「庚申待供養」と刻まれている。左の舟型地蔵菩薩は元禄12年(1699)7月造立で、「六地蔵二番目武列沼戸講中」とあるが、沼戸は沼田のことだろうか。現在首都高速の江北ジャンクションのある辺りは荒川が出来る以前は下沼田という地域だったらしい。
向かいにも沢山の石仏が並んでいるが、手前から二番目の駒型の石塔が庚申塔。造立年は享保15年(1730)で、日月、青面金剛像、邪鬼、三猿の図柄。「奉造立庚申供養塔」「講中本願主 小和泉九郎右衛門」とある。裏側には「竊惟設庚申講村邑八所水泥縣石橋渡諸人難者也」とあるがこれは水難を表しているのだろうか。右端の石仏は見た途端に笑ってしまった。というのも首から下は聖観音像で首から上は地蔵菩薩だったからで、そういう区別がつかない人が補修をしてしまったのか、はたまたわざとなのかは分からない。
場所 足立区小台2丁目42-16
| 固定リンク
コメント