谷原延命地蔵尊(練馬区谷原)
練馬区谷原と言えば長年の間笹目通りから目白通りに入り関越自動車道練馬インターへ向かう交通の要衝である交差点として知られている。しかしこの二本の大通りを斜めに切るように横切る古道を含めての六差路であることを知る人は多くない。この古道は「ふじ大山道」と呼ばれて来た道で、板橋や埼玉から相州の大山や富士登山に向かう山岳信仰の人々の参詣道である。
谷原交差点よりも500mほど東にこのふじ大山道が分岐する辻がある。左がふじ大山道、右は橋戸道である。現在は北原通りと呼ばれており、関越自動車道練馬ICのある三軒寺交差点で目白通りに合流している。橋戸というのは現在の外環自動車道と関越自動車道のジャンクションの下にある公園「大泉橋戸公園」にその名を残している地名で、白子川を越える橋戸橋にも名が残る。このふじ大山道と橋戸道の分岐点に堂宇があり、地蔵(谷原延命地蔵)が祀られている。
丸彫の地蔵尊で顔の脇に修復の跡がある。造立年は安永4年(1774)10月で、台石正面には「武州豊嶌郡谷原村 念仏講中 二十人 惣村中」とある。側面には横山、宮部、保土塚姓の4名の願主名があり、「みぎ はしど道」「左 たなし道 二里 ふじ大山道」とある。横山、宮部、保土塚の姓は後ろに掲げてある延命地蔵堂新築資金奉納者の氏名にもみられる姓であり、この再建年度は昭和55年(1980)2月。「車に突入され<平成6年(1994)壊される」と記されており、完成は8月とある。こういう新旧の歴史もまた興味深い。
場所 練馬区谷原1丁目17-6
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