上原家の馬頭観音(練馬区高松)
練馬にはかつての豪農のお宅がいくつも残っている。光が丘の再開発地域に隣接するこの上原家は裏の畑を合わせると5,200㎡ほどある貴重な農家である。その南西角に堂宇があり、とても立派な馬頭観音が祀られている。
北に隣接する光が丘公園跡地だが、昭和初期までは土壌を生かして練馬大根の生産が盛んだった。ところが第二次世界大戦になると軍の計画で農地は奪われ軍の飛行場が建設された。成増飛行場(あるいは高松飛行場)と呼ばれたこの飛行場は昭和18年に工事開始したが、昭和19年に本土爆撃が始まると翌年には爆撃を受け1年ほどしか持たなかった。戦後は進駐軍の住宅「グラントハイツ」となり、住民のもとに戻ることはなかった。そんな歴史を見てきたであろう貴重な馬頭観音である。
とても背の高い石仏で高さは187㎝ある。上部に載っている馬頭観音像は三面六臂の見事な彫りで、台石の正面には「馬頭観音」、右面には「右 所さわみち」、左面には「左 大山 東加うやさん道」とある。東高野山(長命寺)への参詣道の意である。その下の基壇には、文化6年(1809)8月の造立年があり、武列豊嶋郡上練馬村高松の銘がある。きっと上原家には沢山の牛馬がいて練馬大根の栽培や運搬に活躍していたのだろう。
場所 練馬区高松4丁目19-12
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