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2022年4月26日 (火)

蓮華寺の石仏(大田区西蒲田)

東急池上線蓮沼駅の北にある真言宗の寺院蓮華寺は寛弘年間(1004~1011)の創建という古刹である。蓮沼法師が鎌倉時代前期(13世紀前半)に中興したと伝わるが、この蓮沼法師は俗名を荏原兵部有治といい荏原郡の地頭(中世の荘園で、租税徴収・軍役・守護に当たった管理者で後に権力を増して領主化した)で狩猟が大好きな人物だったという。

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ある時鴛鴦(おしどり)の番がいて、雄を撃ったところ、その夜雌が夢に現れ恨み歌を詠んだ。翌朝現場に行ってみると雌もそこで死んでいたのを見て、生き物への憐れみを痛感し仏門に入ったという。その後、近郷が兵火に焼けた時、この寺にも火がかけられたがすぐには燃えなかったので、本尊を奉じてそばの蓮沼へ移した。すると火は燃え広がり寺は焼け落ちたという。土地の人々は、それ以来この本尊を火除観音呼んで崇め、村内に火災の患はなくなったと伝えられる。昭和の戦災に於いても本尊を除いて全焼したらしい。

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山門前にならぶ石仏石柱の内、この背の高いものは天和3年(1683)春に建立された標石で「火除観世音菩薩」とある。この寺の本尊の火除観音を表している。右の角柱は出羽三山供養塔。安永7年(1778)11月の造立で、山岳信仰供養塔としては区内でも最古らしい。湯殿総講中が建立したとある。

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少し左には駒型の庚申塔がある。造立年は享保5年(1720)9月。日月、青面金剛像、二鶏、三猿の図柄で尊像は左手にショケラを下げている。下部には願主名が9人ほど刻まれており、高瀬姓3、次木姓2、原田姓2、あとは松本、吉田姓。この庚申塔は元は寺の南側の区画(蓮沼3丁目13番地)にあったらしい。

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庚申塔の隣にあるのが珍しい十一面観音を彫りこんだ角柱型の巡礼供養塔。造立年は安永6年(1777)4月。中央に戒名があるので元々墓石でもあったのだろうか。しかし脇には西国坂東秩父順礼所、光明真言百万遍果誦とある。

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道路側に背を向けて立つ二基の石仏は、右の舟型光背型の地蔵菩薩が地蔵では珍しい順礼供養塔。寛延4年(1751)10月の造立で、「奉順礼秩父坂東西国四国」とあり願主原田次郎兵衛の銘がある。左脇に戒名もあるのでこれも墓石として造られた可能性がある。左の丸彫の地蔵菩薩像は、享保13年(1728)晩冬の建之で、願主は密門入道覚山とある。古川薬師百日参詣成就の記念に造立されたもののようだが、「六郷之保内蓮沼村」という地名も刻まれている。

場所  大田区西蒲田6丁目13-14

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