井草観音堂(杉並区井草)
西武新宿線下井草駅前を南東から北西に横切る踏切の道は所沢道と呼ばれた古道。いわゆる旧早稲田通りで、石神井を経て保谷に至る。踏切のすぐ近くにあるのが井草観音堂。観音堂の創建は江戸時代初期。現在の建物は昭和56年(1981)に改築されたものである。
別名「久保の観音様」とも呼ばれたが、これはこの地域が江戸時代今川氏の所領であった頃、下井草村字久保というところだったためである。今川家は静岡県の駿河、三河、遠江を支配していた今川義元の家系で江戸時代は旗本。菩提寺は観音寺で、1645年頃からの領主であった。ただしこの井草観音堂は今川家ではなく近隣の農民による建立らしい。
お堂の中に祀られているのは2基の舟型光背型の石仏で、左が如意輪観音像、右が地蔵菩薩像である。どちらも造立年は寛文7年(1667)2月で同じ時に造られたもの。如意輪観音の方が通称井草観音と呼ばれているものである。地蔵菩薩の方には同行16人と刻まれており、下井草村字久保と字向井草の16軒の農家が講中を作って建立したという。昭和初期までは念仏講も続いており、百万遍の儀式なども行われていたそうである。
場所 杉並区井草1丁目3-14
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