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2022年4月11日 (月)

東山稲荷神社の石仏(新宿区下落合)

高田馬場駅の北側を神田川が東流している。川面の遥か上を山手線や埼京線が走っている。その谷の深さは電車の車両1両の長さよりも深い。高田馬場駅は高架上の駅なのに隣りの目白は切通しの駅、そしてこの神田川は南北の標高30m以上の台地に刻まれた高低差22mの谷底である。神田川の北側の崖地にはいくつもの坂道がある。近衛坂相馬坂七曲坂などどれも急坂である。

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この崖地に近くの住民以外にはほとんど気づかれない神社がある。東山稲荷神社である。清和源氏の皇孫源経基が延長5年(927)に創建したと伝えられる古い稲荷神社である。神社は周りをおとめ山公園に囲まれている。おとめ山公園は江戸時代は徳川将軍鷹狩場で御禁止山と書いた。明治になって福島県相馬中村藩主の相馬家が屋敷地として購入したのでそこに上る相馬坂という坂名が残った。

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鳥居脇にある手水鉢には「東山稲荷明神」とあり、造立は寛延3年(1750)5月と刻まれている。水鉢は内藤新宿の松尾忠兵衛他9名が奉納している。傍には天保9年(1838)4月の水鉢もあり、その上にある舟型光背型の地蔵菩薩像は寛延4年(1751)9月の造立で、願主柏木氏の銘がある。全く目立たないが時代と由緒のある神社である。

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稲荷神社の標高は崖の途中で25mだが、参道の階段の下は17mほど。この参道下には小さな区画があって不思議な丸柱があるが、これは天保7年(1836)に建てられた旧社地を標した祈念碑である。おとめ山に食い込むように崖上に移った理由は分からない。ちなみに東山藤稲荷神社という社名もある。かつて境内に大きな藤の木があったことから藤森稲荷(藤稲荷)とも呼ばれたのでそれが合わさったのだろう。

場所  新宿区下落合2丁目10-5

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