マンション内の庚申塔(練馬区下石神井)
新青梅街道と千川通りが斜めに交差する六差路の井草四丁目交差点。そこから千川通りを少し上ると石神井住宅公園(住宅展示場)があり、その隣に4階建のマンション(メゾンアゼリア)が建っている。このマンションの敷地内を千川通り側から覗くと、近代的な鉄筋コンクリート造のマンションとは異質な庚申塔がある。
変質者と思われるといけないのでちょっと覗くだけにしておいたが、こういう場所に残されているのは極めて珍しい。もともとここは付近の名家である本橋家一族の家が建っていたらしい。今のマンションは1984年の建築である。当時はまだあたりは農村の風景だったようで、バブル期になってようやく民家が増え始めたその頃の建築である。この南にはかつて機械技術研究所があった。現在の日本の頭脳でもある産総研(国立研究開発法人産業技術総合研究所)の前身である。今はその敷地は井草森公園になっている。
庚申塔は駒型で立派なもの。元禄9年(1696)11月の造立で、日月、青面金剛像、邪鬼、二鶏、三猿が迫力を以て描かれている。下部には「本橋忠左エ門 同 伊右エ門 同行 十一人」の銘がある。これだけの庚申塔を作れるのはかなりの豪農だったはず。そして今もマンションの庭でひっそりと立っているのは時代を超越した感じがして面白い。
場所 練馬区下石神井1丁目8-27
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