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2022年7月13日 (水)

西光院の庚申塔(足立区千住曙町)

足立区北千住の南東、京成本線、東武スカイツリーラインがクロスし、隅田川、荒川に挟まれたボトルネックのような地形の土地にある西光院は千葉山西光院薬師寺といい、牛田薬師の名前でも知られる。寺の説明によると、千葉氏の分家が徳治2年(1307)に創建したとある。

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山門をくぐると左手に国学者石出常軒の碑というものがある。私の知らなかった人物だが、江戸時代前期明暦の大火の折に小伝馬町の牢獄から囚人を解放して命を救った(切放という)人物らしい。人物の名前は知らなかったが、小伝馬町の牢獄から囚人を解放した話は聞いたことがある。ほとんどの囚人が戻ってきたと言われている。

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山門を入り、本堂手前の塀の傍にはかなり大きな庚申塔が並んでいる。ほぼ私の背丈ほどもある大きなものが2基、角柱が1基、手水鉢が1基ある。銀杏の木の前にある角柱は寺の碑である。

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右端の角柱型の庚申塔は文化8年(1811)11月の造立。正面には「庚申青面金剛」と大きく書かれ、基壇には三猿が彫りこまれている。脇には紀年のほかに「講中」という文字が見られる。左の板碑型庚申塔は背丈ほどの高さのあるもので、基壇と下部にはそれぞれ蓮の花葉が描かれている。文字は薄くなっているので資料も参考にすると「三密六大▢▢證輪円具足法界有情之覚躰也」とあるようだ。造立年は古く正保3年(1646)と刻まれている。「結集等毎年六度之待庚申祈現後二世悉地成就所 敬白」という文字も見られる。

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隣りには同じほどの高さの舟型光背型の庚申塔。こちらは極めて珍しいタイプのもので、日月、青面金剛像、二童子、邪鬼が描かれているが、その下には一猿一鶏が薄く彫りこまれている。また青面金剛像は四臂でこれも珍しい。造立年は延宝2年(1674)霜月(11月)とこれも江戸前期。右側には「為庚申供養二世安楽之造立也」とある。

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一番左にあるのは三猿の手水鉢。後ろの壁は近年追加されたようである。造立年は天和3年(1683)9月。脇には「西光院宥尊」「奉庚待供養石鉢▢造立▢」とある。江戸時代の西光院近辺は牛田という地名で知られているが、川に囲まれた中洲のような土地で、明治から大正期には水運を利用した織物工場などが複数立ち並んでいたが、現在は静かな住宅街になっている。

場所  足立区千住曙町27-1

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