徳正寺の石仏(葛飾区西新小岩)
天台宗の寺院徳正寺は旧中川が荒川放水路に並ぶ西新小岩の中川水門の傍にある。江戸時代や明治時代の地図を見たが、この辺りは田んぼばかりで寺の記載はない。それもそのはず、かつてはここにはなかった寺院である。
元々は永正10年(1513)に本所押上に創建された浅草寺末の天台宗寺院だが、関東大震災で被災して当時は奥戸村だったこの土地に昭和初期に移転してきた。昭和になってからのこの地は葛飾区上平井町になっていた。昭和の中頃に西新小岩という住居表示に変わっている。
本堂の裏には多くの無縁仏があるが、その中のひときわ大きなこの舟型光背型の地蔵尊は寛文4年(1664)8月の造立と古いもので、「念佛供養同行四十九人」と書かれている。本所押上にあった頃のものだろう。
本堂の庫裏側にまわっても無縁仏は並んでいた。その中のひとつ、上部が欠損している阿弥陀如来像がある。舟型光背型だが光背そのものが欠けてしまっている。刻銘は「奉造立寒念佛供養二世安樂所」とある。上の地蔵とこの阿弥陀は墓石ではないようだ。阿弥陀如来像の造立年は寛文3年(1663)極月(12月)とあり、こちらも押上時代のものだろう。
場所 葛飾区西新小岩3丁目6-6
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