やくし道道標(墨田区八広)
京成押上線の南東を並行して走る八広中央通りの旧道と新道の間にやくし道道標がある。やくし道(薬師道)というのはかつてこの近くにあった木下川薬師を指す。ただし、木下川薬師は荒川掘削によって川の中に水没するため、荒川の向こう側にある浄光寺とともに移転した。浄光寺は現在も木下川薬師を配する大きな寺院である。
道標は尖頭角柱型で、正面には「右 や久しみち」とあり、右面には「左り ゑとみち」とある。やくし=木下川薬師、ゑと=江戸である。造立年等は記されていないが、伝わる情報から享保年間(1716~1735)のものとされている。植込みで見えない側には「大畑村講中」とあるらしい。
江戸幕府八代将軍徳川吉宗の時、吉宗公が木下川薬師に参詣することになり、その道標として大畑村の村民が要所に道標を建立したものの一基であるとされている。実際は領主が村民に強いて造らせたものであろう。
場所 墨田区八広4丁目12-3
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