小嶋の庚申堂(江戸川区西葛西)
地下鉄東西線西葛西駅の北側、現在は荒川に沿って流れる中川の土手の近くに庚申堂がある。現在の住所は西葛西だが、昭和の高度経済成長期までは小島町、大正時代までは小島(小嶋)という字名だった。小嶋の西の中川河口域には干潟が広がり、東京湾の豊富な漁場だったらしい。
典型的な住宅街の一角に2畳ほどの堂宇があり、その中央に庚申塔が祀られている。小島の地名は団地の名前などに残っていて、比較的地元でも忘れられることのない地名のようである。バス停も「小島」で、結構本数も多い。
堂内の庚申塔は板状角柱型の庚申塔で、日月、青面金剛像、三猿の図柄。何となく新しい様子だと感じ、確認すると、昭和27年(1952)の再建で、「庚申再建者 田中文雄」と書かれていた。そしてこの庚申塔には「旧像 享保十四年建立之者也」とも記されている。
ふと台石の左脇を見ると石柱が横たわっていて、「享保14年」と造立年が刻まれている。これが古い庚申塔で、戦後田中氏が戦災などで傷んだのを再建したのだろうか。再建したものをこうして残しておいていただけると嬉しいものである。
場所 江戸川区西葛西1丁目9-29
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