路傍の巡拝塔(足立区神明)
足立区神明にある南蔵院・天祖神社の前の道は六木と花畑を結ぶ道だが、もともとは江戸時代の開墾後の用水路跡である。東に中川、西に綾瀬川、北に垳川(がけがわ)が流れ、一帯は久左衛門新田と呼ばれた開墾地だった。ただこの道は江戸時代から用水路と並行して付けられていた古い道である。
その道の辻に古い堂宇が立っていた。格子の中を覗き込むと、中に石仏が一躰祀られている。よく見ると上部に印刻されているのは不動明王らしい。施錠されていなかったので、失礼ながら格子を開けて拝顔した。
駒型の巡拝塔で、月山、湯殿山、羽黒山と秩父、坂東、西國の百箇所心願成就と記されている。下部左に紀年があるが、戦災か何かで中折れがありその補修で読み取れなくなっている。おそらくは江戸時代後期のものだろう。右側面には「右 市川船橋桜成田道」とあり、左側面には「左 流山我孫子成田道」とあることから道標も兼ねていたようだ。
場所 足立区神明2丁目11-3
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