了真寺門前の石塔(品川区東五反田)
国道1号線は御殿場駅で山手線と交差して白金台方面へ上る。この坂は相生坂と呼ばれた坂で、かなりの急坂だったが、さすがに国道1号線になるとなだらかに改修され、幅員が広いこともあって坂道を意識しづらくなった。都心に向かうと右手に雉子神社があり、その先に本立寺がある。国道の対岸にあるのは曹洞宗の了真寺である。
了真寺の山門はちょっと変わっている。山門の両側には、右に「曹洞宗了真禅寺」という石柱があり、左側には笠付角柱型の大きな「猿町帝釈天安置」と書かれた石柱が立っている。江戸時代この辺りは品川台町と言ったが、坂の上は白金猿町という地名だった。猿町は「去る町」という説もあったりして、ここから下って目黒川を渡ると江戸の街を離れるという感覚だったのだろう。
石柱の側面には「当山帝釈天と猿町の起源」と題して、長い説明が刻まれている。昔の東海道だったこの地は交通の要衝で、南北朝時代の新田義貞がここに庵を建てて、帝釈天を祀った旨のことが書かれている。了真寺の創建は貞応2年(1653)だからそれよりもはるかに昔の話である。帝釈天を祀ったことから「申町」となったのが「猿町」に転化したという。そういえば、北馬込の崇福寺の石仏のコメントでSALさんから白金猿町のことを教えていただいた。
場所 品川区東五反田4丁目7-21
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