長延寺の地蔵(杉並区和田)
杉並区和田の路地通りにある曹洞宗の長延寺。どこかで聞いた名前だと思って記憶を辿ってみると、市ヶ谷に長延寺坂という坂道があったのを思い出した。江戸時代には坂の上に長延寺があったはずである。現在でも町の名前は市谷長延寺町である。
その長延寺がここ杉並の一画に移転していたとは驚くとともに探し人に出会えたような不思議な感覚であった。長延寺は文禄3年(1594)に市谷長延寺町に創建したが、明治42年(1909)に杉並の現在地に移転している。この山門の前にある建物は庫裏で、その左手に本堂がある。山門を入ってすぐ左手に地蔵堂がある。
左の白っぽい新しいものが作恵地蔵。造立年は昭和22年(1947)5月と新しい。右の丸彫の地蔵菩薩像はぼたもち地蔵と呼ばれている古い地蔵だが造立年は不詳。寺の門前に信心深い夫婦が住んでいたが、なかなか子宝に恵まれず、この地蔵に願を掛けて男児をようやく産んだ。しかしながら産後の肥立ちが悪く、母子ともに危うい状態だったところ、地蔵が化身したという小僧がぼたもちを持ってきて母子に食べさせると、間もなく母も元気になり母乳が出て子も元気になったという言い伝えがある。この話はおそらく市谷長延寺町時代のことではないかと私は考えているが、『まんが日本むかしばなし』にも『おけ屋とお地蔵さま』という話で取り上げられた時には杉並の長延寺となっていたようだ。
場所 杉並区和田1丁目44-24
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