萬福寺の石仏(江戸川区東小岩)
江戸川区の東に流れる江戸川は千葉県との都県境の川。川沿いには篠崎街道が走っているが、この道は江戸時代からの街道筋である。少し千葉街道寄りに小岩村、その南には笹ヶ崎村があった。小岩村の南の端に在ったのが真言宗の萬福寺で、創建は天文5年(1536)と古い。昭和30年代前半に大活躍した横綱栃錦の菩提寺でもある。
山門を入ると正面に本堂があり、左手に沢山の石仏が並んでいる。しばらく拝観したが、概ね墓石のようで江戸時代中期のものが多かった。
山門内の左側の植込みに2基の石仏が並んでいた。左は舟型光背型の地蔵菩薩。尊像の右に「奉▢▢菩薩二世安楽」とあり、造立年は元禄2年(1689)8月とある。右は駒型の庚申塔。日月、青面金剛像、邪鬼、二鶏、三猿が陽刻されている。側面には「奉造立大青面金剛一躯」とあり、反対側には享保5年(1720)10月の造立年が刻まれている。
山門前に六地蔵の小堂があり、その脇に地蔵と祠が並んでいた。地蔵菩薩の方は溶け方から推量るに塩地蔵であったような感じ。紀年などは分からない。右の祠が、これは珍しく巡拝塔である。正面に「秩父三十四ヶ所、西國三十三ヶ所、坂東三十三ヶ所」とあり、側面には「順礼成就二世安楽」とある。造立年は明和丁亥年とあるので明和4年(1767)7月だろう。巡拝塔は割と年代がはっきりしていて、1700年頃から1850年頃までのものが殆どである。これは初期のものなのでこういう祠型なのだろう。
場所 江戸川区東小岩2丁目2-4
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