宝林寺の石仏(江戸川区北小岩)
江戸川区北小岩にある宝林寺は真言宗の寺院。創建は説明板によると、慶長12年(1607)に没した大秀法印が創建したとなっているので、1600年前後だろう。ここはちょうど旧佐倉道が江戸川を渡る小岩市川の渡しに設けられた御番所の前で、旅人が滞留した場所である。境内には渡場にあったという成田詣での人々が建てたという常燈明が保存されている。
門前には大きなタブノキがあり、幹を囲むように石仏が並んでいる。右手奥には無縁仏塔の塚もあり、寺の外にこれだけ並ぶのは珍しい。このタブノキは区の保護樹のようだ。この数倍のタブノキが東大井の旧仙台坂(くらやみ坂)に在ったのを思い出した。
左端にあるのが駒型の庚申塔で、正面に大きく「庚申塔」と彫り込まれている。造立年は文化元年(1804)10月で、「伊與田(伊予田)御番所西村講中」とあり、左右に各4名ずつ計8名の願主名が刻まれている。その右隣りは、舟型光背型の地蔵菩薩像だが、尊像右に「奉造立庚申講人数一所」とあるので庚申地蔵である。造立年は寛文10年(1670)9月と古いもの。
隣りには2基の舟型光背型の地蔵菩薩像があるが、右の小さい方はどうも墓石らしい。左の首の部分から折れた痕跡の残る地蔵は、正徳3年(1713)6月の造立。「▢▢智三世一切仏奉造立念仏講中」と右にあり、左には「法界性切唯心造」とある。江戸中期には念仏講中も盛んだったのだろう。
その横の満員電車に乗ったような丸彫の六地蔵はくっつき方がユニークであった。造立年等を探してみたが、文字が見当たらなかった。石質が異なるようでもあるが、大きさはほぼそろっておりもともと六地蔵として造られたものだろうと思う。
その先の無縁仏塔の手前には板碑型の小さな墓石と、駒型の庚申塔が立っている。駒型の庚申塔は、日月、青面金剛像、邪鬼、三猿の図柄で、造立年は貞享3年(1686)12月とある。上部に「奉供養」の文字があるが、それ以外は読み取れない。下部にあるのは願主名だろうか。脇の小さな板碑型の石塔は、延宝6年(1678)のものである。庚申塔の後ろに移っている御影石の石仏は平成元年(1989)9月に建てられた馬頭観音である。これほど新しい馬頭観音は珍しい。
場所 江戸川区北小岩3丁目23-11
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