天桂寺の石仏(杉並区成田東)
天桂寺は杉並区成田東にある曹洞宗の寺院。創建は寛永10年(1664)とされ、小田原北条氏の重臣であった松田康秀の家臣で、北条氏滅亡後江戸幕府の旗本になった岡部吉正が田端村(現在の成田東)の領主となった際に開山したという。「杉並」という地名は、この岡部氏が青梅街道沿いに植えた杉並木に由来すると言われ、天桂寺には岡部氏の墓所がある。
山門脇には3m×2mほどの大岩があり、そこに「天桂寺」と彫り込まれている。武家が造らせた寺だけに、城郭にある巨石(鏡石)のような意味合いがあるのだろうか。山門の正面には本堂があり、右手に庫裏、左側に墓所がある。
山門を入るとすぐ右手に3基の背の高い石仏が並んでいる。右端は昭和50年代に建てられたという水子地蔵。中央の丸彫の地蔵菩薩像は寛政7年(1795)10月造立で、台石正面には「奉造立地蔵再菩薩」とあり、側面には「武列多摩郡田端村之内 関口講中貮拾件 馬橋村講中三軒 阿佐ヶ谷村講中三軒」とある。裏面には「江戸本材木町八丁目」の石工名があり、これは現在の宝町あたりだろうか。そして左端が庚申講中による聖観音像で、造立年は寛文4年(1664)7月と古いもの。文字が多数刻まれており、「念仏講男女廿一人」「奉供養庚申講中所願成就之所」「武州多東郡田端村」などの銘がある。
墓所にはひっそりとこの駒型の馬頭観音が立っている。駒型の角柱に「馬頭観音」と刻まれている。造立年は昭和2年(1927)9月と新しいもので、側面には「健(建立の意味の誤字か) 大場幾吉」とある。
場所 杉並区成田東4丁目17-4
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