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2023年3月18日 (土)

御番所町の石造道標(江戸川区北小岩)

民家の塀のくぼみに「御番所町の慈恩寺道石造道標」がぽつりと立っている。実は一度通り過ぎてしまった。駅の方角から来ると塀の陰になって気づかないのだろう。江戸時代の初め、両国から竪川(たてかわ)の北岸を東に進み、逆井(さかさい)の渡しで旧中川を渡り、小岩で現在の江戸川を渡って房総へ向かう街道が開かれた。「元佐倉道」と呼ばれ、明治8年(1875)には千葉街道と改名している。

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江戸の防衛のために江戸川には橋が架けられなかったので、ここ小岩には小岩市川の渡しがあり、小岩側に小岩市川の関所(御番所)が置かれた。番所は時代が変わって明治2年に廃止されるまで続いた。佐倉道と共に賑やかだったのはここで分岐していた岩槻への慈恩寺道である。江戸時代には霊場巡拝が庶民の間で流行し、西國、秩父とならんで坂東三十三ヶ所霊場もその対象となった。そのひとつである岩槻の慈恩寺へ向かう道ということで慈恩寺道と呼ばれるようになったのである。

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石造道標の正面には「右せんじゅ岩附志おんじ道 左リ江戸本所ミち」、右面には「左リ いち川ミち 小岩御番所町世話人忠兵衛」、左面には「右 いち川みち」とあり、造立年の安永4年(1774)8月が刻まれている。それに続いて「北八丁堀 石工 かつさや加右衛門」とある。実は株は埋まっているし、右面は狭くて見えないので説明板を参照させていただいた。道標は250年もの間ここに立ち、人々を導いてきたのである。

場所  江戸川区北小岩3丁目23-7

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