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2023年3月 3日 (金)

宝蔵院の石仏(葛飾区奥戸)

奥戸という地名はもともと奥津が転訛したもの。東京の低地には青戸、亀戸など「戸」の付く地名があるが、元は港を表す「津」があって、舟運に関わる土地には津や戸が付くことが多い。奥戸周辺は古くから人が住み、昭和の初めまで奥戸村であった地域。この辺りは奥戸新田という集落で、新中川は昭和13年~昭和38年にかけて掘削された人工河川なので、それ以前は農業地と用水路が広がる農村地帯だった。

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宝蔵院は真言宗の寺院で、応永2年(1395)の創建。南葛八十八ヶ所の第7番札所。境内は樹木が多いが、石仏の数も極めて多い。多数は墓石だが、本堂前にも数十基、脇の薬師堂周辺にも同じくらいの数の石仏が並んでいる。

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本堂前の石仏群の中でひときわ大きく目立つのがこの舟型光背型の地蔵菩薩。「ほれ地蔵」と呼ばれているらしい。造立年は寛文2年(1662)7月と古い。「建立念仏講也」「地蔵菩薩二世安楽所」と刻まれている。下部には多数の願主名が刻まれている。

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薬師堂の脇に在ったこの舟型地蔵は墓石だが、寛文13年(1673)3月とこれも古いもの。その先にずらりと石仏が並ぶエリアは「賽の河原」と名付けられており、宇田川家の地蔵が数十基、それ以外にも、元禄6年(1693)の聖観音、元禄7年(1694)の釈迦如来、寛文12年(1672)の釈迦如来、天和3年(1683)の地蔵菩薩、寛文13年(1673)の釈迦如来などがずらりと並んでおり、しばし拝観してしまう。

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宝蔵院の入口は3方向にあるが、東側が本来の山門にあたる。その山門の近くに在ったのが、この笠付角柱型の阿弥陀三尊像である。造立年は寛文11年(1671)10月。角柱の正面と両側面に、阿弥陀如来、観世音菩薩、勢至菩薩が彫り込まれている。像の下部正面には紀年と「奉造立四面塔」「為日記念仏二世安楽也」とあり、各面には沢山の願主名が刻まれていた。

場所  葛飾区奥戸8丁目5-19

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