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2023年5月 4日 (木)

槐戸地蔵尊(足立区梅島)

足立区梅島2丁目の路地角にある槐戸地蔵尊。「さいかちど」と読む。サイカチは「皀莢、皀角、槐」などいくつもの漢字がある。元々マメ科の植物でフジに似ているが棘が沢山ある。結構な巨木になるらしい。仙台に住んでいた頃、愛子町(現在は青葉区)にサイカチ沼という沼があった。脇の道がドロドロの道で往生しながら走ったことがある。

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数坪の境内を持つ地蔵堂は立派なものである。手書きの説明板が立っている。彰義隊ゆかりの地蔵らしい。上野の山に立てこもり新政府軍と戦った彰義隊の負傷者5人が、梅島2丁目10-5辺りにあった葦の繁みに潜伏した。藪蚊だらけの葦原で傷が悪化しもう命も持たない状態となったが、村人に持ってきた石を立てて供養してほしいと願い出た。村人は願いを聞き入れその石を立てた。

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するとその石は地蔵菩薩に変身し、村人たちは特に皮膚病に霊験あらたかとして「いぼ地蔵」の名でご利益を得たという言い伝えが記してある。舟型光背型の地蔵菩薩像には「小右門新田講中」とあるが正しくは小右衛門新田。造立年は享保4年(1719)9月とあるが、それでは彰義隊の方が150年も後になる。言い伝えの地蔵はこの地蔵ではないのだろう。

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説明板の地蔵の由来は足立区の資料とは異なる物語であった。

『昔此の辺りを槐戸耕地と言いました。南を中沼耕地、東南を長張耕地、道海耕地といい、東を背出し道面耕地と呼んでいました。西に富士山・箱根の山を望める景色の佳い農村でした。明治・大正の頃は村内にまだ八軒の晒屋(さらしや)があり、風に白布がたなびく風景は見事であったそうです。お地蔵さまは享保4年2月、今から279年前花畑の講中が本木の石屋に彫らせたものです。立派に仕上がったお地蔵様を紫薇(さるすべり)そりに載せて数名の有志達が運んでいました。ところがその場所まで来たところ、何故か急に全員の手足が動かなくなってしまいました。これはお地蔵様がこの地をお選びになりここで村人たちを守りたいというご意志を示されているに違いないと解釈し、ここにお奉りしたと言われています。以来お地蔵様による数々の霊験が伝えられています。  平成10年9月吉日 小右衛門新田講中』

場所  足立区梅島2丁目10-6

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