心法寺の石仏(千代田区麹町)
千代田区には2基しか庚申塔がない。一基は秋葉原の柳森神社、もう一基が四ツ谷駅近くの麹町にある心法寺である。心法寺は慶長2年(1597)に開山した浄土宗の寺院で、開基は徳川家康である。ここ以外にもいくつか徳川家康開基という寺院はあるが、千代田区内の寺院が悉くなくなっていったのにここだけは今でもしっかりと残っていることが喜ばしい。
門を入ると正面にこじんまりとした本殿がある。周辺の巨大なビル群の中で、心法寺の境内は本当に空が広い。千代田区内で墓所を持つ唯一の寺院でもある。江戸時代末期の切絵図を見ると、周辺には複数の寺院がある。心法寺の隣りに常仙寺、そして栖岸院(せいがんいん)があったようだ。
本堂手前にあるのがこの塩地蔵である。どうも右も左も塩地蔵のようだが、造立年等は分からない。脇の説明書きには「墓地内の六地蔵と並び二百年以上前の麹町の資料にも記されている」とあるから、江戸時代中期のものだろう。
本堂を右手に回り込むと古い銅製の梵鐘、水盤、庚申塔が祀られている。梵鐘は延宝4年(1676)に鋳造されたもの。水盤は万延2年(1861)に寄進されたものである。間にある庚申塔は駒型の立派なもので、日月、青面金剛像、邪鬼、二鶏、三猿、そしてショケラが陽刻されている。造立年が側面にあり、宝暦2年(1752)9月と彫られている。
場所 千代田区麹町6丁目4-2
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