柳森神社の庚申塔(千代田区神田須田町)
都心には古いものが少ない。とはいえ江戸城内郭外郭の城壁や掘など、為政者側のものは意外に残っている。しかし民衆の親しんだものは殆どが時代と共に壊され失われてしまった。千代田区は江戸時代は大半が大名屋敷で、だからこそこの小さな柳森神社は貴重な存在である。
秋葉原の中央口から出てワシントンホテルそばのガード際にある小径を進むと神田川を渡る人道橋「かんだふれあい橋」がある。この橋の上からは柳森神社を裏側から望むことができる。もともと秋葉原は北国からの貨物の鉄道終点駅で、ヤッチャバが賑わっていた場所である。神田川のこの場所に鉄橋が出来たのは昭和に入る直前である。まだ100年しか経っていない。
柳森神社の創建は長禄2年(1457)と古く、太田道灌が江戸城の鬼門除けとして柳を多く植え、京都の伏見稲荷を勧請したのが始まりとされる。江戸三森とは柳森、烏森、椙森(すぎもり)である。本殿脇を通り社務所手前に駒型の庚申塔が祀られている。造立年は正徳5年(1715)で月は分からず。日月、青面金剛とあり、足元の膨らみがおそらくは邪鬼だろうと思われる。三猿は無いのか、あっても土中である。千代田区に2基しかない庚申塔のひとつである。
場所 千代田区神田須田町2-25
| 固定リンク | 0
コメント