谷戸稲荷神社の石仏(調布市国領町)
調布市の旧甲州街道沿いには興味深い場所が極めて多い。布田駅前交差点の常性寺前から200mほど東に橋本石材という石材店がある。石仏などを作っている石屋さんである。その裏手に入っていくと駐車場があり、そのさらに奥まった、かくれんぼしているような場所に稲荷神社がある。
谷戸稲荷神社というが、祠の手前鳥居の下の入口は施錠されている。鳥居の右下に角柱石塔がある。これは念仏供養塔で、造立は文政6年(1823)3月とある。「奉唱講一萬遍供養」とある。他の石仏も同様だが、以前は他の場所に在ったが、橋本石材店に預けられここに安置されたらしい。先日訪問時はさらに境内が狭くなっており、石仏の堂宇の位置が変わっていた。
堂宇の中には右から、寛延元年(1748)10月造立の駒型庚申塔。日月、青面金剛像、邪鬼、三猿の図柄で、「奉講中 国領村 庚申供養 名主谷戸▢▢清 年番四人 講中十六人」とある。中央の丸彫地蔵菩薩は資料によると享保年間(1716~36)のものらしいが、基壇の文字などが資料とは異なっておりよくわからない。左の少し欠損した駒型の庚申塔は正徳5年(1715)11月の造立。日月、青面金剛像、三猿の図柄で、「奉造立庚申供養二世▢満祈攸敬白」とある。
堂宇の前にある板碑型の石塔は資料には載っていない。造立年は文字が欠けていて不明だが11月というのが読める。「奉読誦大乗妙典一千部」「下布田村 施主新井五郎兵衛」の銘が読める。
場所 調布市国領町1丁目19-13
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