松庵稲荷神社の庚申塔(杉並区松庵)
杉並区内には井の頭通りと五日市街道がほぼ平行に走っている。井の頭通りはかつて水道道路と呼ばれた近代の道。五日市街道は古くからあり江戸時代には「青梅街道脇道」とも呼ばれた道で、高円寺で青梅街道と分岐してから西進、現在の吉祥寺を通り、玉川上水沿いに延びた街道であった。江戸時代はこの辺りは松庵村と呼ばれ、江戸時代初期に松庵という医者が開いた村らしい。
現在は松庵稲荷神社だが、江戸時代は天台宗の円光寺という寺院であった。しかし明治維新の廃仏毀釈で廃寺となり神社だけが残った。現在も裏手にかつての僧侶たちの墓所がある。その後昭和9年に隣の中高井戸村の稲荷神社を合祀して松庵稲荷神社となった。庚申塔の堂宇が参道に背を向けているのはそういう歴史も関係しているのだろうか。
右の舟型光背型の庚申塔は、日月、青面金剛像、三猿の図柄。元禄6年(1693)の造立だが月のところが欠損している。「念庚申供養▢▢安楽所」とある。左の笠付角柱型の庚申塔も、日月、青面金剛像、三猿の図柄で、こっちの造立年は元禄3年(1690)11月とある。右側面には「武列野方領松庵新田」とあるので、元禄時代はまだまだ開墾されて間もない田んぼだったのだろう。
場所 杉並区松庵3丁目10-3
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