正雪地蔵尊(新宿区矢来町)
新宿区は古い町名が多く残っていて極めて興味深く、歴史好きにとっては有難い。地下鉄東西線と大江戸線の間を南北に通る牛込中央通りから少しだけ入ったところに秋葉神社がある。秋葉神社は結構あちこちにあり、基本火除けの神様である。本宮は秋葉山本宮秋葉神社で浜松市の北の山の上にある。40年ほど前、天竜スーパー林道という道が出来た時に走りに行ったが、素通りしてしまったのが残念。
矢来町という町名はここに屋敷を構えていた大名酒井若狭守に因む。酒井家は京都府の若狭地方小浜藩の藩主で、江戸時代初期に家光よりここに下屋敷を拝領。周囲の土手を竹の矢来(粗めの竹囲い)で囲み名所となっていたのが町名の由来。以前から牛込寺町に火除けの神として鎮座していたが、酒井家の邸内に遷座。戦後酒井家からこの地に移転した。
秋葉神社の境内には堂宇がありその中に一体の石仏が祀られている。正雪地蔵尊とよばれるもので、酒井家邸内で発掘されたもの。頭部の欠けた織部型の切支丹燈籠だという。この街には江戸時代のクーデター首謀者由比正雪が住んでいたというだけで正雪地蔵と呼ばれるようになった。しかし、酒井家はもともとキリシタン大名で、その関係のものであって由比正雪はこの地蔵を信仰していたらしい。
場所 新宿区矢来町1-19
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