府中駅前の庚申塔(府中市宮町)
府中は大化の改新以来武蔵国の国府が置かれた地で、いわば関東の中心地のような場所であった。国府の置かれた土地ということで府中となったほど歴史がある土地で、京王線府中駅の駅前には延々と天然記念物指定のケヤキ並木が並び、この参道を南へ行くと間もなく大國魂神社に至る。大國魂神社の創建は西暦111年という社伝なので、1900年余りの歴史がある。
ケヤキ並木の中に、近年再開発で新しくなった街のなかで異彩を放つように堂宇があり、庚申塔が祀られている。堂宇の中には2基の庚申塔があり、右の庚申塔は比較的原形をとどめているが、左の庚申塔は文字も全く読めないほど摩滅している。
右の庚申塔は、櫛型角柱型で天保7年(1836)12月の造立。日月、青面金剛像、邪鬼、三猿の図柄で、台石には「武州安達郡鳩谷宿 願主 松坂屋八太郎」の銘が入っている。安達郡は足立のことで、鳩谷宿は今の鳩谷であろう。なぜここにと思うが、そこは府中である。石工は新宿追分の石工甚蔵の名前がある。左の庚申塔は台石に三猿の痕跡が見てとれるが不詳。資料によると、正面には「庚申塔」の文字、そして台石下段には「講中」「右 小金井道」とあり、造立年は文政10年(1827)10月とあったらしい。こちらは府中由来のもののようだが、なぜにこれほどまで摩滅したのかは分からない。
場所 府中市宮町1丁目100番地先 map
| 固定リンク | 0
コメント