府中郷土の森の石仏(1)
府中市は関東の「府」の中心として遥かな昔から武蔵の中心であった。律令時代から武蔵国の国府が置かれていた土地で、江戸が中心になったのは遥か後の時代、江戸時代に入って徳川家康が入府してからである。多摩川に近い府中市の南部に郷土の森という施設があり、その中心は郷土の森博物館。ただし2024年は5月末まで改修の為休館となっている。
旧府中町役場の角で西に折れ、次の郵便局の建物を左に曲がると、裏手にポストがあり、その向かいに馬頭観音が立っている。三面の馬頭観世音座像が正面に描かれており、後ろには嘉永3年(1850)11月の造立年がある。基壇の世話人の文字の下には多くの願主名が刻まれている。元は府中町2丁目の小金井街道の辻にあったらしい。
少しだけ南に進むと、左の梅の木の下に舟型光背型の庚申塔が立っていた。日月と三猿だけの庚申塔で、天和元年(1681)11月の造立と古いもの。正面には「奉建立右意趣者庚申待為供養」とあり、「武州車返村」の銘がある。この舟型庚申塔は元は白糸台5丁目の八幡神社にあったらしい。
まいまいず井戸の手前にあったのがこの3基の庚申塔。左の駒型の庚申塔は日月、青面金剛像、邪鬼、二鶏、三猿の図柄。造立年は享保9年(1724)11月。「奉造立青面 播主武州多摩郡中車返村」の銘があり「金剛為二世安楽也」の文字がある。中央も駒型庚申塔で、日月、青面金剛像、邪鬼、三猿が描かれている。造立年は元文4年(1739)11月で、「奉造立青面金剛為現当両益成」「武州多摩郡車返村講中」とある。右の小さい庚申塔も駒型で、日月、青面金剛像、邪鬼、三猿の図柄。造立年は元文3年(1738)11月。「青面金剛為二世安楽」の文字と、武州多摩郡車返村講中の文字は隣りと同じ。この3基の庚申塔も白糸台5丁目の八幡神社にあったもののようだ。
場所 府中市南町6丁目49 map
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