宝泉院の石仏(多摩市東寺方)
多摩市東寺方にある宝泉院は真言宗の寺院。創建年代は不詳、史料には関戸村小名原関戸にあり、江戸時代末期に一ノ宮村の万平という人が地蔵を寄進したという記録があるらしいが、それ以外はほぼ不詳。都道157号乞田寺方線に入口があるが、石仏は大栗川に下る脇道側に並んでいる。
宝泉院より南と南西の地域がかつての東寺方の集落である。しかし明治時代の地図にはこの場所に寺のしるしはないので、もともと東寺方村の拠り所の草庵のような寺院だったのかもしれない。
左端は丸彫りの地蔵菩薩立像で、享保4年(1719)2月の造立。右側には「武州多摩郡原(関戸)村」の銘がある。台石正面には「男女燕講中」とあるが燕の意味は分からない。右の丸彫りの地蔵菩薩坐像は安政5年(1858)4月の造立。台座には亀と犬の石像がある、正面には「萬霊」の文字、脇には願主名などが刻まれていた。
地蔵の右には庚申塔がある。舟型光背型で日月、青面金剛像、邪鬼、三猿にショケラを下げている。前からは見えないが台座には大きな鶏が二羽(二鶏)あるようだ。造立年は明和2年(1765)10月で、「當村念仏講中」の文字があるようだ。右の小さな舟型光背型の地蔵菩薩坐像は明治20年(1887)4月のもの。「慈眼山宝泉院」の銘がある。
一番右にあったのはかなり摩滅が進んだ大きな石塔の前に黒御影石の新しい「馬頭観音供養塔」。もともと後ろの大きな馬頭観音は天保6年(1835)11月に建てられたもので、「三ケ村講中」の文字がある。川辺にあったものを昭和47年に持ってきたらしい。
場所 多摩市東寺方495
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