寺方大屋敷下の石仏(多摩市東寺方)
京王線聖蹟桜ヶ丘駅の南側には多摩川の支流大栗川が流れており、その右岸左岸が東寺方という地名。その先の丘の上には桜ヶ丘という住宅地があるが、ここはもともとは山の中だった。昭和の中頃高度経済成長期に山は切り開かれ一面が住宅地になった。そこが桜ヶ丘で、その西隣が東寺方である。
今は野猿街道から多摩市和田で都道が分岐し、町田市につながっているがこの道筋は昔の鎌倉街道につながる村の主要道であった。都道157号線が開通する前は宝泉院から観音院前を経て落川に至る道筋がその道である。東寺方の中心部に入って道が上り坂になると間もなく数基の石仏が祀られているのが目に入る。
坂下側にあるのが駒型の庚申塔。日月、青面金剛像、邪鬼、二鶏、三猿が描かれており、造立年は享保8年(1723)11月とある。「武刕多摩郡(東)寺方村 施主」の文字が見られる。元は小川の近くにあったと資料にあるので、昭和年代にこの地に移設されたものだろう。
その少し上には3基の石仏があり、左の丸彫りの地蔵菩薩立像は天保12年(1841)正月の紀年がある。「当山二拾四世如山 造立」の文字があり首は付け替えたものと思われる。中央の丸彫りの地蔵菩薩坐像は文久3年(1863)2月の造立。「地蔵願主尊」「武刕多摩郡上落川一放庵義宗尼願立之」とある。右の角柱型の石塔は普門品供養塔で、期限2540年という文字が右側面にある。造立年は明治14年(1881)である。
場所 多摩市東寺方760
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コメント
いつも楽しく拝見しています。
杉並区在住で散歩がてら民間信仰の地蔵尊、庚申塔を中心に散策を始めました。
杉並区、中野区、練馬区から少しずつ散策範囲を広げているところです。
ゆくゆくは町田、八王子まで足をのばして行くつもりです。
投稿: HAPPYMAN | 2024年11月10日 (日) 04時30分
HAPPYMANさん
お読みいただきありがとうございます。路傍の石仏はいつのまにか消えてしまったり移転してしまったりと、時代の波にさらされがちですが、その分出会えた時の喜びもまたありますね。きれいに手入れされていたり、花を供えられていたりして、まれに講中の方が掃除されていたりするとお話をする最高の機会になります。ぜひ楽しまれてください。
投稿: ぼのぼのぶろぐ管理人 | 2024年11月10日 (日) 17時06分