多聞寺境外墓所の石仏(東久留米市本町)
多摩郡南沢村の中心であった多聞寺の境外墓所が、多聞寺通りを東に進んだ丁字路の先にある。明治時代初期の地図を見てもここには墓地があるので、昔からの境外墓所だったと思われる。
この墓所にはかつて黒松の巨樹があった。しかし昭和47年(1972)9月に落雷に遭い枯死してしまった。現在は傍に昭和63年(1988)に植えられた二代目の松がある。この松は『伊勢物語』の主人公である在原業平の笠懸伝説が残る黒松だが、西の方にある笠松坂の庚申塚の松も同じ由来を持つ。どっちが本当か、どっちともそうでないかはわからない。東下りした業平が、旅の途中で藤原氏の姫、花鳥とこの地で落ち合い、松の下で休憩した折に笠を枝に懸けたという、あちこちにある伝説。
墓所には古い石仏が祀られていて、中央のひときわ大きな丸彫の地蔵菩薩立像は享保3年(1718)9月の造立。武刕多摩郡南沢村の銘があり、願主名には多聞寺の本誉利覚と下田源右衛門、講中22人とある。写真の一番左の石塔が気になったが、文字は読み取れなかった。
場所 東久留米市本町1丁目16番地
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