聖橋(千代田区神田駿河台/文京区湯島)
JR中央線御茶ノ水駅の聖橋口にあるのがその名の通り「聖橋」である。都心部の神田川に架かる橋の中でもっとも象徴的な橋。 南側が千代田区神田駿河台、北側が文京区湯島、そして南側にはニコライ聖堂、北側には湯島聖堂がある。
橋が架かったのは昭和2年(1927)で、関東大震災(1923)の復興橋の一つとして架けられた。 聖橋の名前は一般公募で付けられたそうである。 おそらく二つの聖堂を結ぶので聖橋という考えが多かったのだろう。 長さが92mの鉄筋コンクリートの近代的な橋である。
仙台藩伊達家の天下普請で彫られた神田川(仙台堀)の水面近くを地下鉄丸ノ内線が渡り、川岸にはJR中央線と総武線が崖にへばりつくように走る。上の写真はホームの反対側にあるお茶の水橋の上からのもの。 上京した40余年前から気に入っている東京の風景だ。
一方、上の写真は秋葉原寄りにある昌平橋から撮影したもの。この水路はクルーズ船が沢山通る。 神田川に限らず、東京を川から見るのはいたって面白いので、徐々にブームに火が付いた感がある。 欧州では、都会の川をクルージングするところが沢山ある。 人間という生き物は水があると心が落ち着くらしい。 みんな童心に帰って風景を眺めている。
現在JRはこの聖橋側の駅を人工地盤を設置して大きく変貌させようとしている。 個人的には今の姿が好きなので、ちょっと嫌な気がしている。 無理して作った重ね張りのインフラが都市の成長を描いていて、そこに街の息吹を感じるからだ。 これを現代的なもので覆うようにすると極めてつまらない街になる。 渋谷駅も同様だ。 やっていることは1964年の東京五輪で臭いものに全部蓋をした稚拙な日本人から何一つ進歩していない。
西洋の先進国はすでにそういう街の歴史を大切にした街づくりになっているが、日本は本当に学ばない国である。 建設による経済効果でどれほどの取り返しのつかないものをなくすのかを考える人間が、財界政界に居ないからである。彼らには自分の足で街を歩いて、自分で舟をこいで川面から街を見てもらいたい。 そうすれば少しはまともな考えを持った人間が現れるだろう。
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