2013年10月20日 (日)

樹木と日本人

日本人は植物が大好きな人種です。自然を支配することによって世界観を広げてきた西洋に比べ比較的柔軟な東洋、その中でも自然の中に自分を溶け込ませることで究極の価値観を磨きこんだ日本人の自然との関り方は、いずれ地球を救うだろうと私は思っています。

Dscf0086_r

外堀公園にはいくつか柵を飲み込んだ樹木があります。ソメイヨシノも成長が早いので人工物と交差しますが、スズカケノキ(プラタナス)も同様です。

Dscf0089_r

こちらはまるで柵に掴まるような仕草に見えてきます。科学的には樹木にとって決して良いわけではなく、槍が刺さったまま歩いている人間のようなものです。しかし日本人はこれを自然の力の象徴として崇める場合があります。樹木を切るか、柵を除去するか、日本人は柵を除去するほうを選ぶでしょう。

Dscf0088_r

こちらの樹木は右側方向に傾いて伸びています。日本の造園の素晴らしいところは、この樹木を邪魔者にせず、左側に迂回路を作る点です。合理性を優先すれば樹木を植えかえるか、伐採してしまうほうがコストの面でも優位なのですが、残すという選択肢を取る日本人のやり方を私は素晴らしいと感じます。

サブカルチャーやサービス業で独自の価値を世界に提供している日本ですが、訪れてくれた外国人がそういう日本の心に触れてくれればうれしいですね。

| | | コメント (0)

2012年5月 3日 (木)

今年のナガミヒナゲシのこと

Cimg0044

今年もまたこの時期になると逃げ出して咲き広がるのがナガミヒナゲシ。 ちょうどハナニラがその勢力に陰りを見せる頃にこの花が路傍に咲き始めます。 割と目立つので誰でも気づく花でしょう。

Cimg0029
植え込みの隙間からひょこひょこ伸びてくるのがなかなか生命力強そう。ただ、この花も入梅の頃には次第に影をひそめていきます。 人間と違って、自然環境に素直に対応して生命を全うしているように思えるのです。

| | | コメント (0)

2012年5月 2日 (水)

次郎桜のこと

自宅から30分ほど歩いたところに芦花公園がある。 公園の中には徳富蘆花(蘇峰)の旧邸も残る。 南の入り口から入るとお花畑があり、その手前に桜がたくさんある。 そのうちの1本が次郎桜と呼ばれている。

Cimg0059
なかなか見事な桜でたぶんエドヒガンだろうと思う。この桜にはちょっぴり悲しい話の説明板がある。

徳富蘆花が明治40年にこの地へ越してきた折、近所の篠田次郎という聡明な少年がいて、蘆花の勧めで青学に入学した。ところが次郎は貧しくて、学費不足で苦学、真冬の大雪の中でも外套も持たず薄着で牛乳配達をしていたが、学年末試験前に肺炎で亡くなってしまった。重く沈んだ心で葬儀に参列した蘆花に、次郎の父親が持ってきてくれた桜の末裔がこの桜らしい。

苦学生を見かけなくなった昨今、金持ちでないと東大には入れないと言われ、格差が問題になっている。若者がいろんなことにチャレンジできる社会こそが年金問題やその他の問題の解決の基盤になるはずなのだ。 今の政治家はつまらん(大滝秀治風に)。

Cimg0063
次郎桜はとてもきれいな桜だった。

| | | コメント (0)

2012年3月28日 (水)

福寿草のこと

今日は久しぶりに草木のお話。 今日のテーマは福寿草(フクジュソウ)。

Cimg0013
今年は例年に比べて気温が低いせいかまだ3月半ばでもつぼみが目立つ。もっとも東京近郊では4月の花。いろんな黄色があるが、このちょっと未成熟なフクジュソウの淡い黄色が好み。 紫のつぼみもいい。

まだ花の少ない時期なので咲いているのを見つけるとうれしいものだ。

| | | コメント (0)

2011年9月21日 (水)

豊かなるブナの森のこと

山岳の渓流や沢を釣っていてしばしばすばらしい自然林に出会うことがある。そして通うようになると、毎回挨拶をする樹木が出来てくる。対象となる樹木はさまざまだが、森自体が包み込んでくれる場所というのもまれにあって、中でもブナの森がいちばん気持ちがいい。

Imgp1159

ただ多くの人々が人間の歴史を反省するようにブナを賞賛するが、同じ森にはブナのような生き方をする別の樹木もあったりする。下の写真のトチノキがその一例。ブナは雪の重みに倒れながらも復活を果たして曲がりブナとして大きく育っていくが、このトチノキはそれをまねるかのように地面すれすれを横に這い、そしてそそり立っていた。ちょっと感動的な樹木だった。

Imgp1158

| | | コメント (0)

2011年8月16日 (火)

サギソウふたたびのこと

Cimg0214
日曜日に菩提寺の世田谷妙法寺に旧盆の墓参りに行った。毎年8月から10月に掛けて、寺にはサギソウが並ぶ。まれに空き地に咲いていたりすることもあるが滅多に見られない。なかなか可憐な花だ。

Cimg0208
供養すると心が和む。この感覚は何千年もの間、宗教に関係なく人間が本来持っている感覚なのだろうなと思う。

| | | コメント (0)

2011年7月21日 (木)

アオオニグモのこと

Imgp1005
大井沢で焚き火オフをやっているときに、私の目の前に1cm大のきれいな蜘蛛がやってきた。食べられそうなくらい綺麗だったので、写真に撮った。調べてみたら日本の大部分に生息するアオオニグモらしい。主に森林にいて、特に森の端に多いという。ちょっと見、豆のようにも見える。

蜘蛛については全くと言っていいほど知識がない。昆虫ではないので足が8本ある。でもタコでもない(当たり前か)。人間は足が多い生物が嫌いな傾向がある。4つ足は許容範囲だが、昆虫(6本)になると嫌いな人が多くなる。8本の蜘蛛になるとさらに多くの人間に嫌われる。究極はムカデ・ヤスデの仲間で、もちろん私も嫌いだ。しかし、足の数ってどういう理由で決まるのだろう?生まれてこのかた一度もその説明を聞いた記憶がない。

まあ、蜘蛛やムカデは不人気だから仕方ないか。

| | | コメント (0)

2011年6月 9日 (木)

ブナの苗木のこと

1月のボロ市で久しぶりに野田さんにお会いしていただいた葛根田のブナの苗木。 着々と育っている。

Imgp1995
1月に植えたばかりの時はまだこんな感じだった。葉も出ていないし、高さも10cmほど。これで春になって草が生えてくると埋もれてしまいそうだった。

Imgp2906
春になって若芽が出てきた。3月にはきれいな葉脈の葉っぱも広がり、ブナ特有の葉の裏側の毛もちゃんとある。 頑張れ!

Imgp2911
そして5月にはこれだけ育った。東北のブナの木がこうして自宅の庭で順調に育つのを見ているととてもうれしくなる。震災のあった今年だからこそ、それはなおさらだ。 今年も東北のブナに会いに行く。 とても楽しみだ。

| | | コメント (0)

2011年4月29日 (金)

ハナミズキのこと

Imgp3000 GWの初日、大混雑の高速道路情報を聞いて「今日出かけなくて良かった」とホッとする。近場を散歩していると、ハナミズキの花が咲いていた。

震災で津波の被害に遭った南仙台の閖上地区に津波に飲み込まれ、枝をもぎ取られても花を咲かせている桜とその脇にしっかりと立つ松の木の映像を見た。樹木は強し。逃げることも出来ず、ただひたすら耐えるしかなかった。それでも生き延びて花を咲かせたことが人々の心の支えになっているらしい。

人は花をきれいだから好むのではなく、何があってもその季節になると精一杯の力で咲くから心を動かされるのだと思う。 原発事故から電力をどうするかという論議が飛び交っているが、その助けは植物が持っているような気がする。

樹木を植えよう、花を植えよう、そして彼らとともに温暖化を弱めることが、間接的な解決策になる。そしてそれはいつまでも続く効果となるだろう。それがこれから必要なことなんだと感じた。

Imgp2998 ヤマボウシも頑張っているよ。

| | | コメント (0)

2011年3月28日 (月)

桜の前にのこと

Imgp2869 毎年桜の開花が話題になる頃になると白い大きな花を咲かせるコブシ。 ちょっと妖艶でいて清楚な感じも持ち合わせている花だ。 コブシを見るとコブシが好きだった猫ミュウさんを思い出す。彼だったら今の日本を何と言っただろう。

花も人も生きているからきれいなんだよね。

| | | コメント (0)

より以前の記事一覧