狩川・悪沢釣行 -世附の夏-
ほぼ2ヶ月ぶりの酒匂川水系の釣り。狩川はなぜか初めての釣行。昨年も酒匂川漁協の佐藤氏(山女魚岩魚の責任者とのこと)に狩川の放流状況を電話で確認したのに、狩川には釣行しなかった。それが今になってようやく初釣行とは・・・。
狩川は放流もしっかりされており、魚影は濃い。しかし藪の高橋さんのホームページにあるように釣り人が川を汚すので一時は環境保護団体から揶揄されたこともある。浄水場から入渓。これより下流は狩川マス釣り場のテリトリーなので、トラブルを避けるためにも看板のある堰堤より上流で竿を出すべきだ。堰堤上に降りるとすぐに葦の薮コキを強要される。しかしこの葦に渓魚が守られていることも忘れてはならない。しばらくは反応はない。最初の堰堤の下流ではじめて魚影を発見。
両岸の葦に挟まれた幅1mの流れに毛鉤を打ち込むといきなり出た。引き寄せるとなんと岩魚である。尾鰭の丸いいかにも放流のニッコウイワナ。谷太郎川で放流しているのと同じタイプだ。堰堤を巻くと、そこには凄い葦の群生。葦の薮コキは体中びしょぬれになるので辛いものがある。しかし葦の脇を流れるトロでスーパーハッチとまでは行かないが、盛んなライズを見物できた。
岩魚もいれば山女魚も居た。最高20cmくらいの高さまでジャンプしている。かれこれ15分ほどそのセミスーパーハッチ?を鑑賞したのち、そっと毛鉤を振り込んだら、なんと蜘蛛の子を散らすように葦の根際に潜り込んでしまった。スレているのだ。葦際がポイントと考え、しつこく葦際を流す。そうしているうちようやくピンシャンの山女魚が毛鉤に反応してくれた。
しかしあれだけ沢山の渓魚がハッチしていたのに、反応は非常にシビアだった。結局狩川では、毛鉤に反応した魚5尾に対して、掛けたのは岩魚1尾、山女魚1尾のみであった。ただこの山女魚がとてもきれいな山女魚で、しばらくの間見とれてしまった。狩川の状況が果たして良いのかどうかは、今回が初めての釣行なので判らないが、少なくとも世附川よりは数段良い様だ。
ただし今日釣った区間は取水されていて、流れが細いので葦の中から竿を出すなどして、アプローチに細心の注意を払わないと釣果にはならないかもしれない。今度はもっと上流をやってみようとおもいつつ、わずか数百mの釣りののち世附へ向かうことにした。
世附川の浅瀬のPには車が10台くらいしかない。こんなに少ないのは久しぶりである。これなら朝マズメから世附にくれば良かったかもしれないが、狩川でそこそこいい思いをしたのでよしとしたい。浅瀬の親父さんに挨拶をして悪沢をめざす。
悪沢は芦沢橋の上流で本流に注ぎ込む沢である。今までそこそこ釣れているが、最近はあまり良いはなしを聞かない。大又沢の出合で水量を確認する。まずまずの水況である。
浅瀬から約30分の歩きで芦沢橋に着く。横浜の向陽学園という学校の生徒達が芦沢橋の下で野営している。水泳着を着ている。悪沢の出合に堰堤ができたと朝霧が好きさんから聞いていた。果たして、そこにはデーンと堰堤が建設中であった。しかし鉄柱からみて大岩のみを止めるための堰堤のようだ。
悪沢は本流に比べて水温が低く、その為に結構本流から差す山女魚が多かった。しかしもうこの堰堤でそれも期待できなくなった。悪沢のF1を過ぎると、毛鉤に対する反応は俄然良くなった。やはり夏の暑い陽射しの中ではこんな沢が山女魚にとっても棲みやすいのだろう。
悪沢の山女魚は居着きの半ネイティブのようだ。体側と鰭に赤い筋がくっきりと見て取れる。しかしながら、ここの山女魚は速い。提灯のタタキでは3打数0安打。テンカラで7打数2安打と、非常に厳しい釣果となった。
悪沢を降りて、世附林道に上がると、道路の路肩が崩壊していた。今月の台風によるものだろうか。今年は台風の当たり年になりそうだから、水況は禁漁まで良いだろう。しかし、世附の下流は渋い。釣れる気がしないのである。世附で釣るなら上流の沢に入らなければ、釣果は期待できないかもしれない。
1997年7月25日 狩川~世附川悪沢
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