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1998年2月17日 (火)

佐久解禁釣行(雪中の釣り)

<県境の峠>

2月1日解禁、岐阜県、愛媛県、福井県、愛知県の一部。それに続いて長野県が2月16日に解禁となる。寒い信州がこの時期に解禁するのは不思議である。しかし時機尚早と知ってもなお釣り人は解禁に踊る。関越自動車道から上信越自動車道に入ると奥秩父の山々が近づく。妙義山が北アルプス剣岳の様に断崖岩壁を纏って峻烈な勇姿を見せる。荒船山は雲に隠れていた。避暑地軽井沢のICを過ぎると対面交通になり、長いトンネルが続く。碓氷峠は古い歴史を持つ。

その昔は旧軽の見晴台にある峠が霧積川と碓氷川の間の稜線の杣道で横川に通じていた。国鉄時代の横川~軽井沢間はアブト式や二重連、三重連で有名。昨年オリンピックに先駆けて開通した北陸新幹線が通過する横川は、峠を下りてきた旅人やこれから峠に向かう旅人の休憩地として賑わいつづけた。自動車が走るようになり、108のカーブがある碓氷峠の旧国道が峠道になったが、車にとっても難所だった。その後、入山峠に碓氷バイパスができて碓氷峠は静けさを取り戻した。そして今は高速道路のトンネルで抜ける。便利になったが、やはり味気ない。

<佐久の渓>

長野県は山梨県と同じく山に囲まれている。という事は渓の数も多いということである。確かに多い。そして入漁券が漁協によってかなり異なるという不思議もある。それだけ内水面漁協がしっかり自立しているということだろうか。

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佐久市内を抜け千曲川を渡る。良い流れだ。本流にも釣り人は多い。さすが解禁日。佐久町のコンビニでRYONさんと合流。山男魚さんちでのコーヒーOLD(off-line drink)以来の再会である。RYONさんのホームリバーに案内してもらう。釣り人は多い。駐車できるところにはほとんど車が止まっている。とりあえず宿泊地まで行くことにした。

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宿泊地に車を止め入渓。雪が深い。積雪は30cm以上。吹きだまったところは腰ほどの深さもある。渓に下りるのに汗をかく。ダムの所為か石がヌルっとするが、魚の気配あり。毎年そう思うが釣れた試しは少ない。テンカラ? この雪ではそんな気は起こらず、最初から餌竿しか持たない。渓流釣りでのボーズと1尾の差は果てしなく大きい。確実に1尾を見てからなら、毛鉤を振れる。まだ修行の足りない釣り師の心境とはそんなものだ。もっとも修行を積んだ釣り師はこんな2月の中旬から渓に立ったりはしない。半年近い断食の末期に「まだ熟れてないマズイ果実だが食いたきゃ食っても良い」と言われて、思わず噛り付いてしまう様なものだ。

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しかし渓師にとって、解禁はそれでも食いたいものである。頭の中は良型の岩魚・山女魚でいっぱい。釣れない現実を予測しても、もしかしたらという考えが脳を占拠する。これを抑えるには相当な修行を積み、徳の深い渓師とならねばならない。あるいは、飽きるほどの尺上を釣って、確固たる自信をつけなければならない。(私には到底無理)

そんな風に理由をこねくり回して餌竿を持つあたりが、我ながら人間臭くて良いと思う。思えば釣りという行為は決して高徳なものではない。 第一そこに生きる魚を趣味で捕る(釣る)という事自体、人間の性(さが)の身勝手な部分である。魚にとってはそんなヤツが偉い訳がない。渓魚にとって見ればとんでもない悪党か。

<初釣果>

しかし頭を巡らす色んな考えも目印がスッと動いた瞬間に、宇宙の彼方に飛び去ってしまう。そこにあるのは、「釣ってやるぞ!」という気迫(裏を返せば強欲)だけになる。トロ場、底スレスレに流す。流れて沈んだ小枝が何度も釣れる。またかと思って竿に聞いてみると反応が返ってきた。上げるがやや重い。水面に岩魚が出た。かなりの型。さっきハリスを0.3号に落とした。切れたら嫌だ。水面上を滑らせ、岸の雪の上に落とそうとした。

その時、運の強い岩魚は岸の雪に当たった瞬間に鉤を外すことに成功した。雪が滑り台になって、岩魚はポチャンと流れの脇に落ちた。そしてニョロニョロと体をくねらせて、流れにお帰りになってしまった(^_^;)。迷いのある証拠だ。0.3で切れるわけがない。良型といっても尺には届かないサイズ。それにこの水温。動きは鈍い。確実に取り込むべきところだ。やっぱり未熟?悔しいが仕方がない。どん詰まりの堰堤下にいるRYONさんのところへ行く。 対岸で釣らせてもらう。 大物の気配あり。 しかしフトコロのあるところでは必ずそう思う。 実際に居るかどうかは本当はまったく判ってはいない。明確なアタリ!アブラッペ(^_^;)。 またまた明確なアタリ!やっぱりアブラッペ(^_^;;;

RYONさんはあきらめて少し戻ったところで岩魚を釣った。ムムッ、私はボーズ。まだボーズ。頭の中でボ菌が細胞分裂を始め、驚異的な速度で繁殖し始めた。ジャンプの原田の気持ちが解ったような気がした。後で知ったのだが、この日原田は見事に団体で失敗ジャンプの後バッケンレコードを出して大逆転劇を見せてくれた。私と原田がどこかで通じ合ってたなんて考えは毛頭ない。只のこじつけだ。しかし釣り人はこじつけるのが得意だ。釣れれば今日は陽が射さないので魚がエゴから出てきたといい、釣れなければ今日は寒いので魚が餌を追わないと言う。そして別の日には平気で反対のことを言う。

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しかし、岩魚は釣れた。証人がほしい。RYONさんだ。魚の下顎をつかみ、30mほど上流に居るRYONさんのところまで行く。これでとやかく言われずに済むぞ。RYONさんが「証拠写真撮っとけば」と言う。そうか、そうすりゃいいんだ。ベストのポケットからコンパクトカメラを出し、シャッターを押すと、ボーズの呪縛から解かれた様な気がした。(しかし後日で来た写真はピンぼけであったというオチがついた)

いやぁ!今年は釣れそうだ(^_^)。

<解禁翌朝>

宿で目覚めたのはもう8時になろうかという時刻。今日は南へ下り他の渓を釣るつもりだ。この時間に起きたのは宿の食事が8時からだという理由。さすがに早朝から入渓しようなんて気はさらさらない。食堂の人に今朝の気温を聞く。「7,8度かな」との答え。「零下」とか「マイナス」という前詞は付かない。都会に暮らす私には一瞬プラス7度かと思えたが、すぐ違いに気づいた。氷点下であることが当たり前なのだ。

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朝飯の前に温泉に入る。気分は最高。湯に浸かっていると釣りなどどうでも良くなってきた(^_^;)。しかし、何のために来たのか。こういう時は川を見れば、あっという間に釣欲が高まってくる。

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宿をチェックアウト、車のエンジンキーをひねる。ボロロロ・・・、ゆっくりではあるが始動した。実は一昨年の解禁釣行で大失敗を演じた。 下伊那の月川温泉で朝の氷点下10度を超える冷気にディーゼルエンジンは始動を拒み、苦労の果てに始動させたが、1500回転以上に上がらない。何とかスタンドまでたどり着き、寒冷地用の軽油を補給してようやく復活。その経験をもとに今回は佐久に入ってから給油しておいた。

昨日の午後、気温が上がり雪がかなり解けた。 それだけに今朝の道路は危ない。 氷の上に今朝から降り始めた雪がうっすらと積もっている、一番滑りやすい状態。 慎重に坂道を下った。

<杣添川>

海ノ口の自動車修理工場で南佐久の入漁券を買う。放流実績の地図をもらう。「ウ」というマークがたくさん入っている。「こんなに沢山入漁券売り場があるんだ」と言ったら同行の得さん爆笑。「ウ」は売り場の「ウ」ではなく「ウグイ」の「ウ」だった。まさか「ウ」をそんなに沢山放流するとは思わなかったからてっきり「イ」は岩魚、「ヤ」は山女魚、と来たのに「ウ」は売り場だと思い込んでしまったのである。

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「岩魚でなく山女魚を釣りたいね」と得さんが言う。「ヤ」のマークは杣添川にある。国道の橋の傍のコンビニの裏から上流に向かうが、数百mで行き止まり。当然先行者あり。

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葦の河原を川までラッセル。途中で何度か踏み抜く。落差もある良い渓。得さんが上流で連釣。岩魚のあとアマゴが連続で出たらしい。私はボーズ。アタリもない。

<西 川>

西川は道路沿いの川。入渓はどこからでも可。それだけに釣り人は多い。県道の脇にRVRが止まっていた。車内には犬が居た。犬をからかおうと近づくと、助手席で釣り人の奥さんか彼女と思しき女性がシートを倒して眠っていた。きっと旦那がちょっと釣ってくるからと言って、川に入ったまま帰ってこないので眠ってしまったのだろう。

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西川は人の多いことで有名な川。きっと昨日の解禁日は相当の賑わいだったにちがいない。しかし、今日は氷点下の冷え込みとかなり強い風のせいか、混んでいるというほどではなかった。とりあえず人の居ない堰堤間を釣ってみようと川に下りた。まず、得さんが橋の下の深みに第一投。放流ものなら絶対に入っている場所だ。何度か流すが出ない。そのうち次の堰堤の上へ得さんは行ってしまった。

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堰堤下の深瀬。ここには必ず居るはずだ。居ると信じ、そのポイントを流す。イノシシ大の岩が沈んでいる脇のタルミでアタリ。15cmの岩魚。 今度は堰堤の下のテトラのエゴ。18cmの岩魚。続いて15cm岩魚。ほとんど去年の稚魚放流か。でも鰓の状態は良い。そして大物の臭いのするデカいトーフ石の下のエグれ。ここには絶対に居る。まず出たのが12cmのチビ岩魚。同じ流れで20cmが続く。そして、しつこく流した何投目かに重いアタリ。

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水温が高い所為か(6度あった)、ここの岩魚はしっかりとアタリが出る。重いアタリはほとんど提灯仕掛けの竿をしならせる。しかし、0.5号の通し。尺上も怖くない太さ。ぐっと抜き上げると、意外と他愛なく上がった。重さだけは結構重いが、サビの出た放流の岩魚。サイズを測ったら25cmあった。しかし尾鰭が丸い。普通なら最初に食うはずのサイズが、小さい個体に先を越されていたのかもしれない。不憫なヤツよ。

得さんに見せたら、「岩魚の甘露煮みたい」という。なるほど、サビていて尾鰭が丸いと甘露煮に見える。そう言えば宿の朝飯のおかずに虹鱒の甘露煮が出たっけ。 結構いける味だったなぁ。

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早々に切り上げて帰途につく。山梨県に入ると雪が少なくなった。須玉に下りるとほとんど積雪はない。西川と須玉川はJR最高地点(野辺山)で最接近する。その距離わずか数百m。しかし、それぞれの水量は大きく異なり、流域の天候も積雪も違っていた。甲信の峠は越えると天気が違うことがしばしばある。長野県は雪だったのに、峠を越えた山梨県は晴れていた。冬から春へ一気に帰ってきた、そんな気がした。

1998年2月16日~17日 長野県佐久地方

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